気管切開という選択肢を受け入れた方がいい理由

「気管切開」という言葉は、なんだか急に「普通」とかけ離れるような

印象を与えるものです。

筆者が初めてこの言葉を医師の口から聞いたのは、息子が生まれて2か月になろうという頃。非常に衝撃を受けたのを覚えています。

ですが、それから何年も経過して気付いたこと、それは

「気管切開という選択肢は受け入れた方が良い」ということです。

2つの観点からこの理由についてお話していきたいと思います。

気管切開は「生きやすくするため」の手段

生まれてからずっと呼吸苦があった息子。色々と調べた結果、原因が分かって手術をし、少し落ち着いた頃に飛び出したのが「気管切開」という言葉でした。

当時息子は呼吸が安定せず、挿管チューブを付けたままでしたが、

いずれ挿管チューブも抜くことが出来て普通に自宅に帰れる、と思っていました。「気管切開」って言ったら、喉に穴を開ける?お風呂も入れず、吸引が必要な医療的ケア児になる?漠然とした印象のまま、ただ避けられるものなら避けたい、と考えていました。

しかし、医師として気管切開を勧める理由がもちろんあります。

★気管切開をすれば退院して自宅に帰れる

★自宅だと刺激が多く、成長を促すのにも良い

★呼吸が楽になって本人に余裕が出来るなど。

いわば、本人が日常生活を送る上で必要な手段だった訳で、こういった説明はきっと医師からもしてもらったはずなのですが、

筆者の耳には遠く、結果抜管できる可能性を探して県外の病院へと転院することになったのでした。

気管切開を避けている間に起きていたこと

自宅のある県から400キロ以上離れた病院へと転院した息子。

気管に詳しい転院先で、抜管できるかどうか数ヶ月の間に何度か挑戦しましたが、抜管トライの数を重ねるたび、管を抜いていられる時間が減っていくのです。

身体も次第に大きくなり、呼吸苦の原因と思われていた気管も太くなってきているのに、原因と逆行している結果に愕然としていました。

転院して5か月、挿管を始めて半年以上。ここまで来て抜管が出来ないならと、気管切開を決断するに至った訳ですが、気管切開をした後に検査をして分かったこと、それが

「長期挿管による瘢痕(傷)で声帯が固まってしまっている」ことでした。

つまり、気管切開を回避しようとしている間に厄介な二次障害が起きてしまっていたのです。

もし早い段階で気管切開の選択をしていたら、声帯への影響もなく、恐らく2年以内に気管切開を閉じる、という状況になっていた可能性が高かったのです。

こういった二次障害が起こるパターンは決して多くはありませんが、往々にして起こっているようです。

なので医師が説明する時は、声を大にして言って欲しいのです。

「挿管続けるくらいなら気管切開がマスト」だと。

呼吸を楽に確保できる気管切開は全てのスタート

筆者が気管切開を受け入れた方がいい、と思うもう一つの理由があります。

それは「呼吸」が全てのベースにある、という所です。

息子もそうでしたが、気管切開をしたとたんに呼吸が楽になって笑顔が増え、色んなもので遊ぶ余裕が出来てきました。

筆者は仕事の関係で重症心身障害児に会うことも多いですが、呼吸が苦しいと、呼吸を確保するために自分の力のほとんどを使ってしまうので、余力がない、と感じられることが多いです。

呼吸を頑張らなくていい、ということが、本人にとって次のステップに進むスタートラインになると筆者は感じています。

気管切開、と言われて悩まない親御さんはいないと思いますし、気管切開イヤじゃないよ、なんて言える人もいないと思います。

イヤだけど、怖いけど、

どうか向き合って、受け入れて欲しいと思うのです。

長い目で見た時に、きっとお子さんの生活の質は上がっていると思うから…。

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