医療的ケア児の幼稚園・保育園事情

医療的ケア児の幼稚園・保育園事情

現代、医療が進んでいるおかげで、動ける医療的ケア児が増えています。

でも、動ける医療的ケア児に対する社会的な制度の構築はなかなか進んでいないのが現状です。そこできょうは、医療的ケア児の幼児保育について考えていきます。

医療的ケア児も普通の幼稚園・保育園に行けるの?

吸引などの医療的ケアはあるけれど、健常児とほぼ変わらない発達をしているお子さんが増えてきました。だけど、早々にぶちあたる社会的な壁、それが幼稚園・保育園問題です。健常児なら当たり前に選択できる幼稚園や保育園から、「医療的ケアが出来ない」という理由で排除されてしまうのです。

発達状況を考えれば通常の幼稚園・保育園が妥当なのに、そもそも「選べない」という状況は辛いですよね。

医療的ケア児がぶちあたる壁

筆者の子どもも、この壁にぶちあたったパターンです。生まれた時から気管が弱く、気管切開をしていましたが、ゆっくりながら集団生活が出来るくらいの成長をしていました。

我が子は幼稚園・保育園に行けるのか?行けるなら行きたい!という思いを抱き、幼稚園探しを始めました。今から5年ほど前の話ですが、当時は行政に聞いても何の情報もなく、障がい児のいるお母さん情報が頼りでした。

障がい児を受け入れている、という幼稚園の情報を聞いては片っ端から電話をかけましたが、どこも「発達がゆっくりなお子さんなどは受け入れているけれど、医療的ケア児は受け入れていません」という回答でした。

結果、通常の幼稚園・保育園は受け入れ先がどこもなく、我が子は療育センターに行くことに。

看護師さんがいて、常に手厚いサポートを受けられる安心感はありましたが、「成長」の意味では、大勢の子どもたちに揉まれながらたくさんの経験を積んでいれば、小学校入学児に感じる隔たりのようなものも少なくて済んだのではないか、と思います。

変わりつつある医療的ケア児を取り巻く環境

2021年9月、「医療的ケア児支援法」が可決され、法的に国や自治体が医療的ケア児の支援を行うことが「責務」となりました。

医療的ケア児が、ほかの子と共に教育や保育を受けられるように最大限の配慮・支援することが義務付けられた訳ですね。

筆者も、医療的ケア児の保育環境の支援に関して、仲間とともに行政に働きかけてきた身というのもあり、法律として制定されたことに大きな変化を期待しました。法律の名の下、医療的ケア児の権利を訴えることができるし、何より自治体の方も予算を組みやすくなります。

実際、各自治体では医療的ケア児に関する研修が行われ、医療的ケア児の現状を知識として知ってもらえる機会にもなりました。

ただ、その後スムーズに環境が改善されてきたか…というと、現実にはなかなか厳しいようです。

医療的ケア児の保育環境 課題は山積

筆者の住む福岡市は、数年前から公立の保育園でモデル事業などを行いながら医療的ケア児の保育環境の整備に尽力してきました。

しかし、

▪️受け入れ先の保育園が遠い

▪️看護師の人員不足

▪️入園資格があいまい

など、課題はたくさんありました。

医療的ケア児の受け入れを私立の保育園・幼稚園にも広げたい所ですが、受け入れ先の考え方や体制の問題、「何かあったら」など医療的ケア児に対する安全面、健康面の不安など、一筋縄ではいかないのが現状です。

2021年、福岡市は「訪問看護ステーションの看護師が幼稚園などで医療的ケアをする場合の費用を助成する」とし、看護師を確保する1つの手段を講じています。

が、その内容をよく見ると

▪️1回60分程度1日2回までの利用で幼稚園利用が可能な子ども

が対象になっています。

5年前の我が子に当てはめてみると、吸引は1時間に3回ほど。

もちろん吸引は終日必要ですし、分泌物が増える食中・食後は頻繁に吸引が必要です。

これでは…日頃お世話になっている訪問看護ステーションの看護師さんを利用することもできませんよね。

医療的ケア児支援法が可決されて数ヶ月。容易ではない課題も多いですが、新しい年度に向けて行政がどのように変わっていくのか。さまざまな課題を精査しつつ、医療的ケア児が希望する保育、教育を受けられるような体制づくりに期待したいですね。

関連記事

  1. 気管切開児と声の関係

  2. 医療的ケア児の胃ろう食、注入どうしてる?

  3. 「障がい児保育」から「通常教育」へのステップ!ギャップの埋め方は 

  4. 気管切開児「水」は厄介?上手な付き合い方とは?!

  5. 気管切開という選択肢を受け入れた方がいい理由

  6. 障がい児保育って、どんなことをするの?